著名なアーティストやDJのNFTが高額で売買されたことから、NFTというワードが一気に話題になってきています。
海外だけではなく日本国内でも盛り上がってきていて、VRアーティストのせきぐちあいみさんのアートが69.697ETH(当時約1300万円相当)で落札されました。
こういったNFT関連のニュースを聞いて、自分でも発行してみたいと考えた方も多いはず。
本記事では、暗号資産(仮想通貨)に触れたことのない人でもわかるように、前半はNFTや暗号資産の基礎知識を簡単に説明し、後半でNFTを実際に発行して売却するまでの流れ、注意すべき点をまとめます。
▼記事を読む前に把握しておくと理解しやすくなるポイント
- NFTは自分で発行したり売買できる「デジタルなモノ」
- 「持っていること」を証明する取引履歴は改ざん・コピペできない
- NFT取引の度に、クリエイターにロイヤリティが入る
- NFT発行に必要なものは、「イーサリアム(ETH)という暗号資産」と「ETHやNFTを管理するウォレット」
- NFT発行は、OpenSeaやRaribleというマーケットプレイスの利用がオススメ
NFTとは所有できるデジタルなモノ
NFTはノンファンジブルトークンの略称で、ブロックチェーン上で所有していることが証明される「デジタルなモノ」です。
- デジタルアセットに対しての所有権を持つ。
- 誰が発行したか、その人が発行したNFTは誰が持っているかが全てわかる。
- 売買、譲渡できる。
NFTはブロックチェーンの技術を使って、自分の管理するウォレット(口座のようなもの)にそのNFTが存在していることが証明されています。実際に取引したり自分で発行したりしたことが全て履歴として残っています。
クリエイターからすれば、自分が発行したことも履歴として残っているので、真贋の証明がしやすくなるといったメリットがあります。
NFTの表面にある画像データ自体は、確かにコピペすることができますが、原画の所有者はNFTを持っているあなたです。コピペできるから価値がないという方もいますが、例えば実際の絵画やトレーディングカードゲームにおいて、コピーと本物との価値を比較して考えてみれば、そうではないことに気づくと思います。
自分が所有しているNFTは、マーケットプレイスで自由に売買することができます。売買には、暗号資産のイーサリアムが使われることが多いです。
NFTについてより詳しくまとめた記事もありますので、実際のユースケースなどを知りたい方は読んでみてください。
NFT(NonFungibleToken)って何?特徴・活用事例を紹介
クリエイターがNFTで作品を出す2大メリット
- 作品が取引されるたびにロイヤリティが自分に入る。
- 自分が発行したNFTであることを証明できる。
NFTはスマートコントラクトという自動的に執行されるブロックチェーンの機能によって、取引時のロイヤリティを設定することができます。取引が行われると、設定した比率のロイヤリティがクリエイターに還元されます。アートを作って最初に売却した後、いくら値段が上がったとしてもクリエイターの利益にはならないという課題を解決することができるため、クリエイターの間で話題になっています。
NFTには改ざんできない発行・取引履歴が残ります。履歴には、誰が発行したのかやいくらで取引されたかなどの情報が入っているため、クリエイターとクリエイターのウォレットアドレスが紐づいていれば、真贋をハッキリさせることができます。
コピペした画像データを使って、見かけ上は同じNFTを発行することはできますが、本当のクリエイターのウォレットアドレスから発行されたことはコピペすることができないため、偽物だと判別することができます。
NFTの発行に必要なもの
- ETHを買うための暗号資産取引所口座(ウォレットとは別物)
- ETHやNFTを管理するためのウォレット
NFTの発行にいく前に、まずはNFTの取引や各種手数料(gas代といいます)の支払いに必要な暗号資産ETHを用意する必要があります。
購入したETHは、取引所の口座においてあっても使えないので、自分が管理するウォレットアプリに送金します。ウォレットアプリとは、ETHやNFTを管理するための口座のようなものです。
暗号資産取引所口座の準備
NFTの作成や取引には暗号資産ETHを使います。これは、暗号資産取引所で購入する必要があります。
私がウォレットへの送金で使っているメインの取引所はGMOコインです。
GMOコイン
- ETH /JPYの板取引あり。
- ETHをウォレットに出金するときの手数料がかからない。
- 口座開設までの時間が短い。
GMOコインは、ETHを日本円で買うための板取引が可能です。ウォレットへの出金手数料も無料ですので、NFTアーティストにオススメできる取引所です。私もウォレットへの入金はGMOコインから行うことがほとんどです。
最近口座開設をしたわけではないので、直近の状況はわからないんですが、口座開設までの時間も短いようです。
暗号資産の取引方法は、取引所から直接購入する「販売所」方式と、他のユーザーから「いくらで売ります」「いくらで買います」といったオーダーを出し合って購入する「取引所」方式があります。
取引所方式の方が、売値と買値の差が小さいので、お得に取引できます。
GMOコイン以外の選択肢としては、bitFlyerやbitbankがあります。気になる方は調べてみてください。
GMOコインの口座開設はコチラからどうぞ。
GMOインターネットグループ(東証一部上場)の【GMOコイン】
Coincheck(コインチェック)
- NFTのマーケットプレイスあり
- ETH/JPYの板取引なし
- ETHの出金手数料:0.01ETH
TVCMでもお馴染みのコインチェックです。ETH/JPYの取引がなかったり、ETHの出金手数料が0.01ETHかかったりするので、ウォレットへの送金には不向きなんですが、NFTのマーケットプレイスがあります。
出品できるNFTは、クリプトスペルズやTHE SAND BOXといったゲーム系NFTに限られていますが、今後増えてくることが予想されます。自分の作品を作って売りたいだけであれば、口座開設は不要ですが、NFTを楽しむ選択肢を増やしたいということであればこの機会に口座開設しておくといいと思います。
本筋からそれてしまうので詳しくは説明しませんが、海外のマーケットプレイスで買い物できる日本人は言語の壁もあって意外と限られているので、そこで売られているNFTがコインチェックで高く売れることもあります。
コインチェックの口座開設はコチラから。
ウォレットアプリMETAMASK(メタマスク)のインストール
口座開設の手続きには少し時間がかかりますから、その間にでもウォレットアプリをインストールしておきましょう。
今回紹介するメタマスクは、最もメジャーなウォレットアプリで、Google Chromeのアドオンとしてインストールします。Chromeをインストールしていない方は、まずこちらからインストールしてください。
次にメタマスクをインストールします。
Twitterなどで「メタマスクへの送金やインストールがうまくいかない」といったことを呟くと、公式サポートを装ってDMやリプライをしてくるアカウントがあります。全てあなたの資産を盗もうとする偽物です。信頼できる人に問い合わせるようにしましょう。
インストールが終わったら、ウォレットを作成します。
「ウォレットの作成」を選択します。
過去にウォレットを作ったことがある方は、シードフレーズを入力してウォレットをインポートすることができます。
パスワードを設定します。パスワードは、あくまでメタマスクを起動させるためのもの。これとは別にシードフレーズというアカウント復元用のパスワードがあります。
シードフレーズがあれば、パスワードを忘れてしまってもアカウントを復元可能です。
12単語からなるフレーズを記録します。このフレーズが漏洩すると、あなたのアカウントが復元されてしまい、全ての資産を奪われてしまいます。
絶対に公開しないでください。また、公式やキャンペーンの当選などを装ってシードフレーズを聞いてくる詐欺師もいます。公式がシードフレーズを聞くことは絶対にありません。
先ほど記録した、12単語を順番に入力します。
入力が完了すれば、アカウント作成完了です。
メタマスクにETHを入金してみよう
取引所の口座が開設したら、日本円を入金してETHを買ってみてください。
GMOコインであれば、取引所→現物取引と進み、「イーサリアム」を選択すればこちらの画面が出てきます。
少額であればひとまず「成行」「買」を選択し、取引数量を入力した後、「確認画面へ」をクリックします。
確認画面で注文を決済すれば、イーサリアムを購入することができます。
ETHを買えたら、ウォレットにETHを送金します。
暗号資産の送金には、「ETHアドレス」を使います。0xから始まる文字列です。送金先を間違えてしまうと、救出不可能となるケースも多々あります(goxと言われています)。よく確認してから送金しましょう。
メタマスクを立ち上げて、アカウント名をクリックすると、アドレスをコピーすることができます。
GMOコインであれば、「入出金」→「暗号資産」→「イーサリアム」→「送付」と進むとこちらの画面になります。
「新しい宛先を追加する」をクリックして、先ほどコピーしたアドレスを入力しましょう。
その後、送付したいETHの数量を入力し、2段階認証コードを入力した後に「確認画面へ」をクリック。
確認画面で承認すれば、数分〜数十分後にメタマスクにETHが届きます。
ウォレットへの入金が完了したら、準備はOKです。
ここからは、後半戦。マーケットプレイスの紹介や使い方を説明していきます。
NFTを発行できるマーケットプレイス
初めてNFTを発行するのであれば、OpenSeaかRarible(ラリブル)のどちらかがオススメです。
- 誰でも出品できるマーケットプレイス。
- アート以外にも音楽NFTやゲーム用NFTなどジャンルが様々。
- NFTの発行手数料(gas代)の支払いが購入時に発生するので、クリエイターの負担が少ない。
- NFTとしてアップロードできるファイルの容量が100MとRaribleよりも大きい。
- 発行できるNFTは1枚ずつのみ。
- 誰でも出品できるマーケットプレイスでOpenSeaよりもアートに特化。
- NFTの発行手数料は、発行時にクリエイターが支払う。
- 複数のNFTを同時に発行できる。
- ファイル容量は50MとOpenSeaよりも小さい。
最近はgas代の負担もかなり大きいので、まずはOpenSeaで発行してみるといいと思います。
OpenSeaでNFTを発行・販売する方法
まずはOpenSeaへアクセスし、METAMASKを起動しておきます。
画面右上のメニューにある「MyCollections」から、NFTを作成する自分のコレクションをまず作成します。
ロゴの画像や説明をアップロードして、「Create」をクリックします。
MyCollectionsが作れたら、「Create new item」からNFTを発行していきます。
画像や動画のデータ(上限100MB)をアップロードし、名前や説明を記載してください。
PropertiesやStatsなどの情報をNFTに持たせることもできますが、まずは空欄でOKです。
NFTを持っている人だけがアクセスできるコンテンツを持たせたい場合には、「Unlockable Content」欄に記入してください。
最後に「Create」をクリックすれば、NFTの発行は完了です。
OpenSeaでは、固定価格(Set Price)での販売とオークション形式(Highest Bid)での販売を選ぶことができます。
SetPriceでは、販売したい価格を「Price」に入力し、「Post Your Listing」をクリックします。
画面右下には、取引じのロイヤリティが表示されています。OpenSeaは2.5%で、クリエイターにいくら入るかを設定することができます。やり方は後ほど紹介します。
オークション形式で販売したい場合には、「Highest Bid」を選択します。
Minimum Bidは最低入札価格、Reserve priceは最低落札価格です。最低落札価格に到達しなければ、オークション期間が終了しても、販売されずに残ります。
Expiration Dateは、オークション期間です。終了日時を設定してください。
最後に「Post Your Listing」をクリックすれば、出品完了です。
MyCollections画面の「Edit」から、NFTが二次流通で売れていったときに入るロイヤリティの比率を設定することができます。
Commissionの欄に、パーセンテージとロイヤリティが入金されるETHアドレスを入力してください。最後にスクロールしていった画面下で設定を保存すれば完了です。
RaribleでNFTを発行・販売する方法
Raribleへアクセスし、METAMASKを起動した状態でConnectしておきます。
Raribleでは、IDが異なる同じNFTを発行数を決めて販売することができます。
右上の「作成する」から「マルチ」を選びます。
頭の片隅に入れておく程度でいいんですが、シングルはERC-721、マルチはERC-1155という規格のNFTが発行されます。
Rarible上でもこのワードを見かけることがありますが、ERC-721は1点もの、ERC-1155は複数発行されているものと認識しておきましょう。
NFTとして発行するための画像をアップロードし、販売価格やNFTホルダー限定コンテンツなどの入力をします。
コレクションを選択は、自分独自のNFTにしたい場合には「作成する」を選び、Rarible上のNFTにしたい場合には「Rarible」のままで先に進んでください。
続けて、NFTの名前や説明、ロイヤリティなどを入力します。
コピー数は、このNFTをいくつ発行するかということです。一点ものにして希少価値を高めるか、たくさん発行してばら撒くかなどは、クリエイターのコンセプトで決めてください。
最後に「Create items」をクリックすると、METAMASKが起動してNFT発行や出品の確認のポッポアップが出現します。ブロックチェーン利用手数料として、gas代を支払えばNFTの発行と出品は完了です。gas代は0.1ETHくらいは軽くかかります。
余裕を持って、ウォレットに入金しておきましょう。
ちなみに、gas代は決してOpenSeaやRaribleといったマーケットプレイスがぼったくっているわけではなく、ブロックチェーンを維持するための必要経費として発生します。
出品したNFTにオファーがきたら
オファーをAcceptする
NFTを出品すると、オファーがくるケースがあります。OpenSeaのケースで紹介します。
オファーは、「MyProfile」の「Offers」にある「OffersRecieved」から確認できます。
https://opensea.io/account?tab=bids
Unit Priceの欄がオファーの価格です。オファーはイーサリアム以外の暗号資産でくることがあります。
- 1ドルと同じ価値を持つようにコントロールされているステーブルコイン(DAI、USDC)
- ETHと同じ価値をもち、マーケット上でオファーなどのやりとりに使われるWETH
例えば、上記画像であれば上から2列目に「301」とありますが、これは301ETHではありません。これはステーブルコインで「301ドル」のオファーが来ているということです。太字の数字の横にある()に、ドル建てでのオファー価格が表示されていますから、こちらでオファー金額を確認するようにしましょう。
例えば3ETHで出品しているNFTに対して、2.9ドルでオファーがくるケースがあります。こちらのミスを誘ったオファーです。ぱっと見こちらの売りたい価格に近いので承認してしまわないようにご注意ください!
オファーを承認する場合には、リストの右側にある「Accept」をクリックします。
上記のような確認画面が表示されますので、Acceptをクリックして、METAMASKの確認画面で承認します。しばらく待てば、手数料が引かれた金額があなたのウォレットに入金されます。
入金された暗号資産をETHに交換する
日本円に戻す場合には、ウォレットに入金された暗号資産をETHにかえてから送金する必要があります。
ETHへの交換はUniswapというサイトでできます。
https://app.uniswap.org/#/swap
右上の「Connect」からMETAMASKを接続して、上にUSDCやWETH、下にETHを選択しApprove→Swapと2回トランザクションを承認すれば、交換完了です。詳しくは調べてみてください。DMで聞いてもらってもOKです。
ETHに交換したら、GMOコインなどの暗号資産取引所に送金して、好きなタイミングで日本円に戻してください。
まとめ
NFTを発行して販売するまでの一連の流れをまとめました。
実際にNFTを発行したり取引することで、ただのデジタルコピーと何が違うのか?なぜこんなに盛り上がっているのかがわかってくると思います。
実際にやってみると、それほど難しいこともないので、気になる方はぜひトライしてみてください。
お金が集まってきている業界なので、「代理でNFT発行しますよ!」とか「困ってますか?サポートします。秘密鍵を教えてください^^」みたいなヤカラもいます。ご注意くださいね。